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研修医の声

佐田 耕一郎(高知大学 1997年卒)

佐田 耕一郎

――では、はじめに米の山病院での研修の特徴からお教えいただけますか。

佐田:うちは、内科全般と外科と整形外科中心にやってます。
大牟田は高齢化がすすんでいる地域ですけれども、認知症という問題がやっぱりどうしても発生してきます。みさき病院というところで、認知症診療を2年の研修の内に、取り入れています。あとは、地域の診療所にも出て往診体験もやってます。

――地域医療というところに比重を置いての研修プログラム構成になっているということですね。

佐田:そうですね。内科研修、外科研修も一般的にうちの基幹病院でやっている研修は珍しい病気というよりは、救急で来られたり、外来で入って来られたりする方を、全部が全部というわけにはいきませんけれども、基本的には最初から見て、診断を最初からやっていくというプロセスが経験できるかなと考えています。

――まさに地域で活躍できる総合医を育てるというような方針なんですね。

佐田:特に2年間は厚労省も言っている通り、基礎的臨床能力ということを育成していくというのが目的になっています。専門医ももちろん必要ですけれども、地域の病院というところでといったときに、やっぱり総合医が必要かなということで。
専門医になる前にも、2年間で基礎的臨床研修能力を養うためのシステムというか、プログラムを重視しているということになります。

――先生が研修医の方を指導される際に、心掛けていることっていうのは何かありますか。

佐田:研修の本当の中身のところで言うと、やっぱり人に対してしっかり鑑別診断を行うっていうのがあるんですけれども、鑑別診断のスキルを上げて、それから前進、出発しようということに指導の中では気をつけるようにしています。

――コミュニケーションという部分では、いかがですか。

佐田:日常的に必ず研修医の先生と顔と顔を合わせて、毎日話し合うようにはしてますね。

――研修医の方がたとえば不安を持たれたり、疑問があったりした時に、先生のところにアドバイスが求めやすかったりだとか、そういった医局の雰囲気づくりっていうのは、何か工夫されている部分はありますか。

佐田:みんなで飲みに行きましょうという雰囲気はありますね。院外でも、僕だけじゃないですけれど、指導医レベルの医師がいわゆるプライベートでどっか飲みに誘ったりしてますね。

――それは意識的に?

佐田:意識的にですね。あとは、そうですね、何か行事があるときは一緒に行きましょうみたいな雰囲気とか、和気あいあいと話しやすい感じで、いろいろと声を掛けるようにしています。

――全体の中でそれは最初から、米の山病院が持っているそういう雰囲気なのか、それとも、指導医の先生方でそういうふうに意識づくっていこうというふうなのかは。

佐田:いや、それはもう恐らく雰囲気でやっていると思います。そういうふうに話しやすい環境にしましょうという、していないことがいいのか、悪いのかは別として、自然発生的にそういうふうにやってくれている先生がいますね。
指導医会議とか、事務局会議とか、そういうので話しやすい雰囲気をつくりましょうねっていうのは、逆に言うとあんまり話していないかもしれない。

――今度は先生ご自身のお話をお伺いしたいんですけれども、そもそも先生はまだお若いかと思うんですけれども。

佐田:うん、若いです(笑)

――まず医師を目指そうと思ったのは、どういうところから。

佐田:医師ねえ。僕も大牟田市出身なんですけど、やっぱり人の役に立ちたい仕事っていうのは、よく言われることですけれども、そういう気持ちが多々ありましたね。
人を助けて喜ばれる仕事って、すごく幸せな仕事かなあというところは、確かに出発点としてはあったかもしれません。

――今、何年目になるんでしょうか。

佐田:23年目ですか。

――どうですか。23年やってこられて。やりがいというか、そこはもう全然変わらずモチベーションを持って続けて来られたんでしょうか。

佐田:そうですね。やりがいということで言うと、やっぱり元気になられた患者さんを退院させるような状況になったときは、すごく感じますね。それはもう間違いなく。こちらもうれしいし、患者さんも喜んでくれるしね。でも、一方では、ちょっとむなしさを感じるのは、やっぱりどんだけ頑張っても助からないという方を診るときは、ちょっと逆に無力さを感じてしまいますね。だから、いいことばっかりじゃないですけどね。

――こちらの病院では、患者さんの特徴として高齢者の方が多いですね。

佐田:そうですね。

――まさに地域医療が求められている地域だと思うんですが、地域医療って、何か一言で分かりやすく言うと、どういったものになるんですかね。

佐田:うーん、地域医療ねえ。

――はい。先生の感じる地域医療っていうのは。

佐田:やっぱり、一番には何かあったり、診療所で診れないとか、そういうところで「ここに飛び込んだら何とかなる」みたいな、期待していただいている病院であり、こちらの垣根のないというか、そういうところはあるかもしれませんね。

コンビニ受診とか言われますけれども、それとはちょっと意味が違うんですけど、何か本当に困って飛び込めるところかなと思います。大学病院とはちょっと違う。

――なるほど。

佐田:多分、一言で言うと、大体そうかなと。あとは、よく言われるのが、やっぱり疾患とか、病気を治して、はい終わりじゃなくて、大牟田ってすごく高齢者が多くて、独居老人とか、認知症のご夫婦とか、本当にこの人たちだけで生活してて大丈夫なのか?っていう世帯がやっぱり多いんですね。そういう方がメンタルとかですね。病気は治って、もう退院できますというときに、そういう退院されたときにどうしましょうとか、この人たちは生活できるのだろうかとか、そういうところの調整はかなり米の山病院は積極的にやってるわけなんですね。

――退院後もその方を丸ごと診る。ただ、単純に目の前の患部だけを診るんではないんだというような考えを研修医の方に伝える難しさっていうのは感じられてますか?

佐田:たしかに、そこまでの指導というのは、まだ行き届いてないかもしれない。そういうところは課題かもしれません。自然と、そういうふうに帰れるか、帰れないか。こういうことにどういうことがあったら、この人が帰るために必要なのかっていうところでは、アプローチしているんですけれども、最期も自分が診るんだっていうところまでの残念ながら人間味まで見せてるのは、ちょっとまだ。

そういう意味ではまだ力不足の面がありますけど、できたら、そういうふうになっていただきたいなと。こちらも指導を努めていかなきゃいけないかなと。

以前は、研修医が退院後訪問とか、自宅に行ったりしてたんですよね。
ただ、すごく看護師さんとか、医師も忙しくなってきて、外に飛び出して、退院なさった患者さんがどうかなど、まだ行けていないところはありますよ。

自宅を見に行くと、新しい発見があったり、ここら辺で困ってたり、こういう生活をしているのかっていうところが見えてくることがあります。そこまで持っていけたらいいかなと思うんですけれどもね。
入院中に退院前リハビリっていうことでは行くことがあります。退院なさって、その後にというのはないですけどね。

――ちょっと、話が変わるところがあるんですが、先生個人でも結構ですし、指導医の立場でも結構なんですけれども、これからの目標とか、夢っていうのは何かありますか。

佐田:それは大きなあれになりましたね(笑)

――ですね(笑)大きな話で。もう10年スパンでも、20年スパンでも結構なんですけど。

佐田:基本的に大牟田地区もやっぱり高齢者がまだふえていくと思うんですよね。人口自体は減っているんですけど、ただ、そこを支える医師がやっぱり少ないんですよ。地域に根差してるっていうことで。やっぱりこの地域に根差して、できればこの地域の人々を自分がより支えていくんだみたいな医師が増えてきたらいいなと思いますけれどもね。
ただ、そう言ってしますと、ここに最終的に残らないと来ない研修医の先生がふえてくると困るので、そこら辺はちょっと書くのはどうかなと思いますけれども。夢的にはその流れですね。

だから、大牟田地区だけじゃなくても、地域の人を支える医師の数が増えればいいかなと。

――それをするには、かなり国の法律や政策援助の部分から変えていかないといけないとは思うんですが。

佐田:今の研修は、救急医療なら救急医療という方がやっぱり多いし、あえて言うならば、やっぱり休める環境があるかどうかっていうのは、結構大きいみたいですね。自分の代わりがいるかどうかとか、休みたいときに休めるかどうかとか。そういう意味では政策とかにもよるかもしれないですけれども、あんまり医師不足のところに行って研修しようという意識はあんまりない人たちも多いですからね。

――なるほど。

佐田:技術研修、知識研修。だから、1~2年目はそういう形でしょうがないのかなと思うし、それでいいかもしれないですけど。でも、将来的にはやっぱり地域を支える医師とか、そういう気持ちを持てるような医師になっていただきたなとは思いますけれども。
都市部で研修したとしてもね。そういう意味で言うと、政策的な何かいるのかもしれませんけれどもね。

――最後の質問になるんでが、これから医師を目指すような方に対して何かアドバイスをいただきたいと思います。

佐田:やっぱり自分の好きなことをやっぱり目指してやるっていうのは大事かなと思いますね。やりたいこと、実現したいことをしっかり目標に置いて、それに向かってしっかり取り組むというか、あきらめずにやるということが一番大事かなと。
やっぱりやりたいことだとか、思いがあるところじゃないと続かないし。
ただ、その先に先端医療だけに顔を向けず、もちろんそういうお医者さんも必要なんですけど、医師不足のところで、そういうところでも働きたいと思えるような環境とか、市場を僕らがまた呼びかけとか、一緒にやりましょうとか、そういう医療もあるんだみたいなところに思いをはせてくれればいいかなと思います。

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